楊先生の漢詩朗読(その45. 春の訪れと行けないが故の望郷の念を詠んだ、朱熹の漢詩「春日」)
こんにちは!スマイル中国語教室の楊 欣然です。
春が来て桜も咲き、気持ちよいの季節となりましたが、コロナウイルスで外出を控えなければならず、春を堪能できず残念な思いをされている方も多いと思います。
今日は朱熹が詠んだ漢詩「春日」で春を味わってみたいと思います。
(白文)
春日 朱熹
勝日尋芳泗水濱
無邊光景一時新
等闔ッ得東風面
萬紫千紅總是春
(書き下し文)
春日 朱熹
勝日 芳を尋ぬ 泗水の濱
無邊の光景 一時 新たなり
等閧ノ識り得たり 東風の面
萬紫 千紅 總て是れ春。
(現代語訳)
晴れわたった日に泗水(しすい)の水辺で花を観賞した。
広くて際限がない風景が、(冬景色から)一挙に変わった。
春風の顔は、簡単に見分けられる。
花が色とりどりに咲き乱れてすべて春である。
(解説)
朱熹は南宋の儒学者で尊称として朱子と呼ばれ、儒教の体系化を図った中興の祖であり、朱子学の創始者です。泗水は現在の山東省にある川です。山東省泗水県蒙山の南に四ヶ所の水源があることからこのような名前となりました。
泗水のある山東省は孔子の出生の地でしたが、朱熹の時代は、泗水一帯の地は金の領土なっていたので、実際には行けない場所でした。春の訪れと行けないが故のあこがれや望郷の念のようなものを合わせて詠んだ歌なのです。
また「孔子を祖とした儒学は盛んとなり、(儒学の現況は)万紫千紅(花が色とりどりに咲き乱れるように多くの学派が起こり、盛況)という状態だ」という感情を詠んだともいわれています。