楊先生の漢詩朗読(その14 蘇州にある寒山寺を題材にした漢詩、張継の「楓橋夜泊」)

こんにちは!スマイル中国語教室の楊 欣然です。

 

 

 今日はこの漢詩は昨日紹介させていただいた、美しい水の風景が広がる蘇州の寒山寺を題材にした漢詩、張継の「楓橋夜泊」を中国語で味わってみたいと思います。

 

楊先生の「楓橋夜泊」の朗読はこちらから!

 

 この漢詩は科挙に落ちてしまった張継が国に帰る船上で夜中にショックで眠れず、ふと船外に出た時の情景を詠んだ作品です。

 

 

「楓橋夜泊」 張継

 

月落烏啼霜満天

 

江楓漁火対愁眠

 

姑蘇城外寒山寺

 

夜半鐘声到客船

 


(楓橋の近くにある張継の像。)

 


(寒山寺にある漢詩「楓橋夜泊」の石碑)

 

(解説)

 

「楓橋夜泊」 張継

 

月落烏啼霜満天

 

(白文読み)月落ち烏啼いて 霜天に満つ 

 

(現代語訳)月が沈み烏が鳴いて、空には冷たい霧が降る気配が満ち溢れている。

 

江楓漁火対愁眠

 

(白文読み)江楓漁火 愁眠に対す

 

(現代語訳)川岸の紅葉した楓の間に見える、あかあかとした漁火がてんてんとして、旅愁のために眠りかけている私の眼前に浮かんでいる。

 

姑蘇城外寒山寺

 

(白文読み)姑蘇城外 寒山寺

 

(現代語訳)蘇州郊外にある、ここ寒山寺。

 

夜半鐘声到客船

 

(白文読み)夜半の鐘声 客船に到る

 

(現代語訳)夜半、鳴鐘が私の乗る船に響き渡る。

 

 楓橋古鎮は、寒山寺の隣にある古い村で隋の時代に造られた京杭運河に沿って広がる街でした。楓橋は寒山寺の北100メートルのところに架けられた石造の太鼓橋です。もともとは「封橋」と呼ばれていましたが、張継の詩が有名になったので「楓橋」に改められたようです。今でも景勝地として知られており、楓橋の先には京杭運河と楓江とが交わり、交通の要衝となっています。

 

 

 


(寒山寺の 「鐘楼」 。黄色い二階建ての建物で“ 鐘突きの塔 ” として有名です。)

 


(寒拾殿の「普明宝塔」 。五層の塔となっています。)

 


(寒山寺にある獅子の像。)

 

 科挙試験に落ちた張継がこの優雅な橋の上から見た風景とはどんなものだったんでしょう。これから先のことが思い描けず、落胆と後悔の稔が身体中を駆け巡り、つらい思いが伝わってきます。今も昔も試験に落ちて落胆するときの気持ちは変わりませんね、、、。

 


(漢詩「楓橋夜泊」が詠まれた風景が描かれた水墨画。)

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