楊先生の漢詩朗読(その12 李 白の「金陵酒肆留別」)

こんにちは!スマイル中国語教室の楊 欣然です。

 

 今日は日本人にもお馴染みの中国の詩人、李白が詠んだ漢詩、「金陵酒肆留別」を中国語で味わってみたいと思います。

 

楊先生の金陵酒肆留別の朗読はこちらから

 


(南京市内を流れる秦淮河。揚子江の支流です。南京の母の河として親しまれています。)

 


(南京市内を流れる秦淮河の風景。.)

 

金陵酒肆留別 李白

 

白門柳花滿店香

 

?壓酒喚客嘗

 

金陵子弟來相送

 

欲行不行各盡觴

 

請君問取東流水

 

別意與之誰短長

 


(南京市内を流れる秦淮河。揚子江の支流です。)

 

(解説)

 

金陵酒肆留別 李白

 

(白文読み)金陵(きんりょう)の酒肆(しゅし)にて留別す 李白

 

(現代語訳)金陵の居酒屋にて詩を書いて別れる

 

白門柳花滿店香

 

(白文読み)白門(はくもん)の柳花(りゅうか) 満店(まんてん)香(かんば)し

 

(現代語訳)白門の柳のワタが店いっぱいに香っている。

 

?壓酒喚客嘗   

 

(白文読み)呉姫(ごき) 酒を圧して客(かく)を嘗めしむ

 

(現代語訳)呉の地方の娘が酒をしぼって客を呼んで味見させる。

 

金陵子弟來相送  

 

(白文読み)金陵の子弟 来(きた)りて相(あい)送り

 

(現代語訳)金陵の若者たちが来て、私を送ってくれる。

 

欲行不行各盡觴   

 

(白文読み)行(ゆ)かんと欲して行かず 各(おのおの)觴(さかずき)を盡(つく)す

 

(現代語訳)出発しようとして、なかなか出発できない。めいめい盃を飲み干す。

 

請君問取東流水

 

(白文読み)請(こ)う 君 問取(もんしゅ)せよ 東流(とうりゅう)の水に

 

(現代語訳)君よ。尋ねておくれ。東に流れる水に。

 

別意與之誰短長

 

(白文読み)別意(べつい)と之(これ)と誰(いずれ)か短長(たんちょう)と

 

(現代語訳)別れの思いと、この長江の水と、どちらが長いかと。

 


(南京市内を流れる秦淮河。)

 

金陵は現在の南京です。南朝の晋・宋・斉・梁・陳はここを都としており、歴史と伝統のある街でした。

 


(現在の南京市内の様子。)

 

 李白は金陵の街で半年近く滞在し、地元の知識人や若い詩人たちと交流しました。その後、舟でさらに東へ行くことにしました。この漢詩は金陵を立つ時の別れの詩で、呉の美女がいる酒肆(しゅし)に知友が集まり、送別の宴でのものです。

 


(南京市内の飲食店。若者にしたわれて、人気のあった李白は古都金陵のむせるような晩春、若者たちと李白の心暖まる交遊しました。)

 


(南京名物のタニシの炒め物。お酒のつまみにちょうどいいです。)

 

 若者にしたわれて、人気のあった李白。古都金陵のむせるような晩春、若者たちと李白の心暖まる交遊ゆえに別れのつらさは格別なものとなりました。いかにも酒好きの李白らしい作品です。

 


(秦淮河横にある江南貢院。歴代中国王朝の科挙の試験が行われた場所です。優秀な役人を輩出してきました。)

 


(南京にある中山陵。孫文の陵墓です。)

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