西湖のほとりにたたずむ歴史の街、杭州(その6.英雄として絶大な人気を誇る岳飛が祀られている岳王廟)

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西湖のほとりにたたずむ歴史の街、杭州(その6.英雄として絶大な人気を誇る岳飛が祀られている岳王廟)

こんにちは!スマイル中国語教室のマーシーです。

 

 今日は杭州旅行記の6回目、中国で英雄の中の英雄として絶大な人気を誇る岳飛が祀られている岳王廟について御紹介いたします。

 

 宋の時代、女真族の「金」の侵略を受け、皇帝が万里の長城より北に連行され、宋(後に北宋と呼ばれる)は滅亡しました。そして皇族で唯一難を逃れていた高宗が立てた南宋の武将として活躍したのが岳飛です。

 

(岳飛は何度か映像化されていますが、代表的なものはこちらからイメージしやすいかと思います。)

 

 今回は憂国の詞として岳飛が詠んだ漢詩を楊先生に朗読してもらいました。この漢詩は秋瑾や毛沢東を始めとして多くの慷慨の詞に部分的に使われているもので非常に有名なものです。

 

楊先生による岳飛の漢詩の朗読はこちらから

 

滿江紅  岳飛

 

怒髮衝冠,
憑闌處、
瀟瀟雨歇。
抬望眼、
仰天長嘯,
壯懷激烈。
三十功名塵與土,
八千里路雲和月。
莫等閨A
白了少年頭,
空悲切。

 

(白文読み)

 

滿江紅 岳飛

 

怒發 冠を衝き,
欄に憑る 處(ところ)、
瀟瀟たるあめ歇む。
望眼を抬(もちあ)げ、
天を仰ぎ 長嘯(ちゃうせう)すれば,
壯懷 激烈。
三十の功名 塵 與(と)土,
八千里路  雲 和(と)月。
等閧ノする莫れ、白く了(なりおおせ)たる  少年の頭,
空しく悲切。

 

(現代語訳)

 

滿江紅 岳飛

 

憤怒のために髪が逆立ち、冠を突き上げるほどだ。
手すりに寄りかかる時、
雨が寂しく降って止んだ。
頭を上げて遠方を見わたす。
天を仰ぎ、声をあげて、心の奥底に溜まった鬱懐を出せば
雄々しく、激しい感情がこみあげてきた。
私が三十余歳(岳飛の当時の年齢)までに立てた功名と功績は小さな取るに足らないものだ。
これまでの昼夜問わず、各地での激しい戦い。
なおざりにしてはいけない。もう少年の頭は白くなってしまった。
空しく、悲しみが刃物が肌に密着したようにぴったりと密着しているようだ。

 

 岳飛は農民出身ながら文武両道で当時は官軍ですら行っていた兵の略奪を許さず、文民統制と周辺国への配金主義による弱腰外交から、中国歴史上、最弱の軍隊と呼ばれる宋と五指に入る屈強な軍であった金を相手に連戦連勝を重ねました。

 

中国大陸の南部にまで侵攻した金軍を北宋の首都であった開封にまで撤退させた功績から農民等の平民層に大変な支持されました。

 

 しかし岳飛の勢力が拡大することを恐れた宰相・秦檜によって無実の罪で投獄され、処刑されてしまいます。死後、無実であった事が証明されると名誉回復されて「鄂王」に封じられ、西湖のほとりには岳飛と共に処刑された養子の岳雲と共に祀られています。現在は「岳王廟」と呼ばれ、岳飛を慕う多くの中国人が訪れています。

 

 岳王廟の岳飛と岳雲の墓の前には秦檜夫婦ら岳飛を無実の罪で殺害した者達五人が後ろでに縛られて正座させられている像が鉄の檻に入れられた状態で設置されています。今は禁止ですが、通る人が唾を吐きかけたり、ゴミを投げつけたりする人も以前はいました。中国の「死後も罪が許されない」宗教観がよく解りますね。

 

 長文すいませんでした。また次週も杭州旅行記を続けます。よろしくお願いします。

 


(「岳王廟」と呼ばれ、現在も岳飛を慕う多くの中国人が訪れています。)

 


(岳飛の性格を表した言葉ですね。)

 


(西湖のほとりには岳飛と共に処刑された養子の岳雲と共に祀られています。)

 


(本堂です。)

 


(岳飛の像。凛々しいです。)

 


(民衆に慕われる岳飛の画。中国では英雄として絶大な人気を誇ります。)

 


(岳飛の眠る墓所に向かいます。)

 


(岳飛自ら書いた文章です。)

 


(廟内は緑が多くきれいです。)

 


(岳飛の眠る墓所の前の門です。)

 


(岳飛と共に処刑された養子の岳雲が共に祀られています。)

 


(岳王廟の岳飛と岳雲の墓の前には、秦檜夫婦ら岳飛を無実の罪で殺害した者達五人が後ろでに縛られて正座させられている像が鉄の檻に入れられた状態で設置されており、通る人が唾を吐きかけたり、ゴミを投げつけたりする等(今は禁止)、中国の「死後も罪が許されない」宗教観がよく解る場所でもあります。)

 


(なんとも惨めな姿ですね。)

 


(中国の皇帝の陵墓のように動物の石像が並んでいます。)

 


(岳飛と共に処刑された養子の岳雲が共に祀られています。)

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