西湖のほとりにたたずむ歴史の街、杭州(その10.(特別編)春の桃の花の薄紅色と柳の新緑とのコントラストが美しい白堤の景観を詠んだ白居易の「春題湖上」)
こんにちは!スマイル中国語教室の楊 欣然です。
今日は西湖の旅行記の最後を締めくくるべく、春の桃の花の薄紅色と柳の新緑とのコントラストが美しい白堤の景観を詠んだ白居易の「春題湖上」を中国語で味わってみたいと思います。
「春題湖上」 白居易
湖上春来似画図
乱峰囲繞水平舖
松排山面千重翠
月点波心一顆珠
碧毯線頭抽早稲
青羅裙帯展新蒲
未能抛得杭州去
一半勾留是此湖
(白文読み)
湖上に春来りて画図に似たり
乱峰囲繞して水平らかに舖(し)く
松は山面に排して千重の翠
月は波心に點じて一顆の珠
碧毯の線頭 早稻を抽き
青羅の裙帶 新蒲を展ぶ
未だ杭州を抛ち得て去る能はず
一半の勾留 是れ此の湖
(現代語訳)
湖上に春がやってきてまるで絵のような風景だ。
周りは山々に取り囲まれ、水面は滑らかだ。
松が山面に生えて緑が重なり合い、
月は波頭に映じてたまのようだ。
緑の絨毯の毛先とみえるのは稲の穂の先、
青羅の裙帯と見えるのは蒲の穂先だ。
いまだに杭州をなげうって去りがたく、
なかば引き留められているのはこの湖のせいなのだ。
(解説)
唐代の大詩人・白居易は杭州の刺史(長官)であった時、西湖の開拓と大規模な水利工事を興し、多大な貢献をしたことから、その堤のことを後世の人によって功績を讃えて「白堤」と呼ばれるようになりました。
農民を使って農閑期の冬に堤の水利工事を行っていましたが、春に刺史の任期が来るのは分かっていたので、任期中に工事を終わらせようとしていました。しかし、春の西湖の美しさに魅せられて、去りがたい思いをこの漢詩に詠みたのです。
歴史は違いますが、先日紹介させていただいた蘇東坡が杭州の知事の時代築いたとされる西湖の蘇堤と共に白堤は西湖の治水に多大なる貢献をしており、現在でも人々に賞賛されています。
自ら取り組んだ事業に対する思い入れと誇りが感じられる漢詩ですね。